
外国人が読む日本の作家の一人に、谷崎潤一郎さんがいます。
個人的には、細雪、春琴抄、刺青といったゾクゾクとさせる中に美しさが表れている作品が好きで読んでいます。
海外では、タニザキの『陰翳礼讃』が評価されています。
海外に限らず、日本においても、建築家やデザイナーの必読書なんですね。
私は、エッセイが得意ではないので読んでなかったのですが、読んでみると目から鱗が落ちました。
近代以降の日本は、安全確保のためでしょうか、明るい社会になりました。
明るいというより、眩しいといってもいいでしょう。
闇は、心と人間性の中にしか存在しなくなってきてるじゃないでしょうか。
本来、日本人がもつ美意識は、陰があるから生じる光に、陰が生み出す仄暗さの静けさにある。
それは、神社仏閣に訪れれば体感できる。
あの静けさに響く鹿威しや水琴窟、庭にある滝の音。
暗さと冷たさを過ぎて現れるひっそりと輝く仏間と線香やお香の匂い。
全ての存在が、反対のものを輝かせることによってその存在を際立たせる。
そうゆう在り方。
それを、言葉で意識させてくれる本です。
リーブラコーヒーショップのコーヒーを焙煎している長岡京市は、この時期には蛍が舞います。
先日、竹馬の友と蛍を見に小泉川川沿いを歩いてきました。
高速や住宅やらで以前より明るい長岡京市ですが、山に向かって川沿いを進めば進むほと、蛍の乱舞が見られました。
儚さと思いつきのように舞うホタルたち。
ぼーと見ているだけで、心が落ち着いてきます。
焦るな焦るな、時間をうまく漂うのだ。
そんな声が聞こえてきます。
かしこ暮らしっく、長岡京。
次の金土は、蛍祭りです。