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晩秋の幸せ

胸を疼かせる甘い香りがなんとなく薄らぎ、ふと足元を見れば小さなオレンジの花が地面いっぱいに散らばっている。

金木犀が散り去る頃、それは晩秋の始まり。
釣瓶落としと言われるように、秋の日は井戸の釣瓶のごとくあっという間に暮れていく。
15時は、昼間というより日暮れだ。
肌寒く、カラダが暖かさを欲する。
温かいものが美味しく感じるねと共感しあう季節は去ってしまった。
それがコーヒーであれほうじ茶であれ、温かい飲み物は身体に美味しいより先に染み入ってくる。
そうやって過ごすそのひとときの間にも、日は待たずに落ちていく。
今日も終わるんだなという焦りと安堵感に包まれる。
そうゆう感じは晩秋にしか味わえない。
しみじみの時間
それが晩秋の幸せ。