「ながら勉強は頭に入らないぞ」と、はるか昔、親だったか学校だか塾の先生だかテレビだかに言われた。
素直な質なので、ラジカセ(懐かしい)を止めて勉強していた。
時は過ぎ、誰かに何かを言われなくなるほどに大人になった頃、
「女は並行して2つ3つのことができるが、男は一つのことしかできない」という話を聞いた。
その頃ちょうど200人/日が来るような歯科医院で受付のアルバイトをしていたのだけど、
受付、カルテの印刷、歯ブラシ云々の販売、会計、予約、医者・衛生士・技工士との確認等々の業務を並行しながら、
患者さん対応をしないと受付渋滞を引き起こす所だった。
受付は二人で、男性事務員が入ると完全に渋滞が起こり、
もう一人が3倍動いても医院の雰囲気が一気に悪くなる状況だったので、
この話聞いて「なるほどな」と深く感じ入ったものである。
「なるほど」と思ったのは、仕事の処理時間だけでなく処理密度的なものにでもある。
それが明確に表れていたのは、患者さんの顔だった。
彼は、例えばカルテを印刷しながら話を聞くということをしない。
何もしないで話を聞く。ただただ聞く。
時間はかかる。時間はかかるが、患者さんの顔は明るい。
さて、さらに時が過ぎた今「一億総ながら族」だ。
道でも駅でも会社でもスーパーでも居間でもどの場でも、スマホ片手に何かをしている人ばかり。
自分を含め。
スマホ片手にテレビを見ていると、スマホの情報もテレビの情報も頭に60%も入ってきてないことに気が付く。
これが、「ながら」だからなのか、「加齢」のせいなのかわからない。
しかし、テレビですら60%未満の情報吸収力しかない自分がいるのは事実。
歯科医院時代を思い出す。
いろんなことをやってると一定時間内にやってやった感はあるけれど、充実感は軽減してやしないだろうか。
目の前に広がるそれに集中。
並行作業を止めるとその分、時間はかかる。効率も悪い。
それだけに集中する力と時間があるのか、自分?
それでも挑戦することで得られるものがあるような気がする。
少なくとも周囲に与える迷惑は減るはず!
とりあえず「STOPながら!」はじめてみます。
まずは、音楽なしの家事、音楽なしの筋トレだな。